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「最新!小児歯科学会大会のトレンド|母乳 or ミルク?母乳哺育が促す正しい顎の発達」

仙台市 宮城野区 しらとり歯科医院です。しらとり歯科医院は、お子様のむし歯予防・治療や歯科矯正治療をはじめ、お母さまの妊産婦歯科検診・マタニティ歯科健診を行っております。前回に続き、先日参加した小児歯科学会大会の講演をもとに、「母乳哺育が与える口腔機能への影響」についてお話します。

 

※授乳方法について、様々な意見や特徴があると思います。あくまで歯科的視点から研究やデータによる報告をもとに、母乳哺育についてお話しします。

 

 

 

 

「最新!小児歯科学会大会のトレンド|母乳 or ミルク?母乳哺育が促す正しい顎の発達」

・「WHO 2017口腔機能の発達と母乳哺育」について

・あなたの育児観は? 授乳・離乳食にまつわるママたちのホンネ

「母乳とミルクの違いは、伊右衛門か綾鷹かくらいの違い?(つまり、そんなに違わない)」

「離乳食は市販のものがいい」

・多様化する育児のリアル〜現代の育児事情〜

 

 

 

 

前回、「WHO(世界保健機関)は、6ヶ月までは母乳を勧めている」ことをお話しましたが、「口腔機能の発達と母乳哺育」について次のように説明しています。

 

※文が長く専門用語も出てくるため、内容が難しいかもしれません。わかりやすいように解説していきます。

 

「WHO 2017口腔機能の発達と母乳哺育」について↓

 頭蓋顔面の発達には、呼吸、咀嚼、吸啜、嚥下などの機能刺激が関係している。母乳吸啜は、必要な激しい筋肉活動により正しい頭蓋顔面の発達を促進することも観察されている。筋肉活動は唇を適切に閉じ、下顎機能を刺敷し、舌を口蓋に対して正しく配置する。母乳哺育中の唇と舌の動きは、乳児が「搾り取る動作」でミルクを得ることを意味するが、哺乳瓶で育てられた子供はミルクを得るためにより受動的な動きをするため、口腔顔面構造への刺激が少なくなる。その結果、母乳哺育はより良い咬合発達と口腔顔面構造の正しい成長を促進し、より良い咳合発達は混合歯列期まで続く可能性がある。

 

解説

 授乳の際に赤ちゃんが行う舌や顎、唇の運動を吸啜運動と言いますが、赤ちゃんは母乳やミルクを吸いながら、将来咀嚼する(ご飯を噛む)ための基本的な顎の動きを学習し始めていると言われています。

過去の研究で、哺乳瓶(人工乳)と比べ、母乳哺育を行うと舌や舌骨上筋群、咀嚼筋といった「口、顔周りの筋肉の活動」や「舌運動、下顎の動きが活発に行われる」ことがわかっています。

授乳の際、赤ちゃんがお母さんの母乳やミルクを飲むために、唇、舌を使って哺乳を行うことはイメージしやすいかと思いますが、実は離乳食に備えて噛むための筋肉を鍛えながら、顎や口全体を使っています。

 

 

 

 

あなたの育児観は? 授乳・離乳食にまつわるママたちのホンネ

 赤ちゃんにとって哺乳することは、大変な運動になります。一般的に生後5〜6ヶ月頃、下顎の乳歯が生えてくる時期に離乳食へ移行していくと言われていますが、その数ヶ月は赤ちゃんの成長発育にとって大きな意味を持つのかもしれません。

ここからは少し視点を変えて話をしていきます。2022年に株式会社mamatas (ママタス)が行った育児に関するアンケートをご紹介します。

ママタスのInstagramフォロワー6,000人と、その他1,000人に意識調査を行いました。内容としては、「子育てはママ1人きりでするものではない」、「男の子(女の子)らしく育てるは意識しない」、「スマホ育児もあり」といったものから、今回の話にとつながるような、「母乳とミルクの違いは、伊右衛門か綾鷹かくらいの違い?(つまり、そんなに違わない)」、「離乳食は市販のものがいい」ものもありました。

 

 

 

 

・「母乳とミルクの違いは、伊右衛門か綾鷹かくらいの違い?(つまり、そんなに違わない)」についての回答

フォロワーたちの答え(→賛成が86.7%、反対が13.3%)、その他1000名の答え(→賛成が50.7%、反対が49.3%)

 

 

 

 

・「離乳食は市販のものがいい」についての回答

フォロワーたちの答え(→賛成が83.8%、反対が16.2%)、その他1000名の答え(→賛成が55.7%、反対が44.3%)

 

 

・多様化する育児のリアル〜現代の育児事情〜

 ここで前回少しお話した、WHOとユニセフが発表した共同声明について触れて行きます。1989年に発表された共同声明「母乳育児を成功させるための10ヶ条」は、2018年に「母乳育児がうまくいくための10ステップ」として内容がアップデートされました。

10ヶ条の内容として、「出産後30分以内の乳頭吸啜(STSC;Skin To Skin Contact)」、「新生児には、母乳以外の水分や栄養を与えない」、「終日母児同室」、「定刻授乳、時間授乳ではなく、自律授乳」、「人工乳首やおしゃべりを与えない」というものでしたが、2018年に変更された10ステップでは、「STSCはできるだけ早く」、「24時間母児同室」、「哺乳瓶、人工乳首、おしゃぶりの使用とリスクについて、母親と十分話し合う」といったように時代背景に合わせて内容が変更されています。

 

いろんな考え方や意見があるかもしれませんが、ママタスの調査結果にもあるように、環境やライフスタイルに合わせて、育児の取り組み方にも多様性が求められているのかもしれません。

 

次回に続く