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「しらとり歯科医院が答える!インプラントと入れ歯で豊かな人生を:噛む力と健康寿命の深い関係」

 仙台市 宮城野区 しらとり歯科医院です。日本ではインプラント治療経験者は70歳代の方が多くを占めていると言われており、高齢社会における歯科治療による健康寿命の延伸への貢献が期待されています。今回はインプラント治療、入れ歯と「咀嚼機能の回復」に焦点を当ててお話しします。

 

 

 

 

1.インプラント手術の実際から注意点まで徹底解説

・インプラント手術の実際

・知らないでは済まされない失った歯が招く問題

・インプラントと噛む力について

・インプラント治療、本当に良かった?20年後のリアル:長期経過症例に見る満足と課題

インプラントと入れ歯で豊かな人生を:噛む力と健康寿命の深い関係

・術後の注意点

・事前によく聞かれる質問

 

 

 

 

インプラント治療、成功の鍵は「術後のケア」にあり!20年後も後悔しないために知っておくべきこと

 前回は、日本口腔インプラント学会が行なったインプラント治療を行い20年以上経過した患者さんに対するアンケートをお話ししました。多くの方が「何でも良く噛める」と答え、「インプラント治療に満足されていますか」という問いには9割以上の方が「満足」、概ね良好な結果をとなりました。

一方、残りの5%「不満」と感じた方は、理由として30%の方が「歯茎が腫れるなどのトラブルがある」、「手入れがうまくできない」と答えています。また定期検診を受けていない方が18%を占めており、よく噛めるようになって満足度が上がっても、その後のケアができなければ長持ちが難しくなってしまいます。

 

 

 

 

インプラント治療がもたらす「人生の質」:要介護リスクを乗り越える歯の力

 アンケートは「自立度」についての質問もありました。「自立度」とは、日常的な食事、着替え、トイレ動作から歩行、ベッドから椅子への移動、会話の理解など、介護の必要度合いを評価します。過去の研究では、男性は60歳過ぎから 19%の人が主に循環器疾患により急激に要介護状態の頻度が高くなり、70%の人が70歳過ぎから次第に自立度が減少していくと言われています。同年代の方と比べてインプラント治療経験者は、 「日常生活でなんでもできる」と答えました。

 

 

 

 

「もう食べられない」を「また食べたい」に:終末期医療の現場から学ぶ、咀嚼機能と全身の健康のつながり

 インプラント治療に限らず、入れ歯治療もそうですが、失った歯に対し適切な治療を行うことは、からだの健康にも関係します。「入院していた方が入れ歯治療を行なったことをきっかけに、退院することができた」という話を紹介します。

2022年、福岡市にあるリハビリテーション病院が、「終末期医療を目的に入院した86歳の女性に入れ歯治療を行い、咀嚼機能の回復を契機に食事量が回復し、退院に至った」という報告を行いました。

入れ歯の調整といっても、入れ歯を新調したということではなく、すでに使用していた入れ歯を調整したそうです。なぜ、「入れ歯の修理を行なったことが退院につながった」のでしょうか。

経緯として、患者さんは骨折のため入院していました。食欲、血圧低下と肝機能低下のため、薬による治療を行うも効果が見込まれず、腹水になっていました。急性期病院を退院後、本人・家族ともに積極的治療や侵襲的検査は望まず、終末期医療、継続療養のため慢性期病院に転院しました。

転院時には「入れ歯が合わない,食べられない」と義歯の違和感を訴えており、咀嚼能力の低下によって食欲が落ち、低栄養を招いていたことが考えられました。食欲不振が続き、食事を摂らない状態が続くと、低栄養となり筋力と基礎代謝量が低下します。多臓器に慢性病変をかかえた状態では、このような悪循環が起こり、からだが衰弱します。

 

 

 

 

 終末期という判断のもと、侵襲のある治療的な介入は行わず、入れ歯の修理が行われました。調整を行ったところ食事量が増え、後日ご家族との外食を行えることができたそうです。

からだの回復は、義歯調整後に5 割ほどまで急回復し、7 カ月の期間を経て、徐々にリハビリテーションが効果を上げ、血液検査値、運動系の機能的自立度が改善しました。

あくまでも回復〜退院までの過程は、多職種連携、栄養の改善とリハビリによるものですが、入れ歯の調整が1つのきっかけとなリました。

次回に続く