仙台市 宮城野区 しらとり歯科医院です。前回、「食感」をテーマに入れ歯、ブリッジ治療、インプラント治療についてお話ししました。現在のチタン製インプラント体を用いたインプラント治療が普及し、50年近い年数が経ちました。従来の入れ歯やブリッジ治療と比較した研究や調査が多く行われています。日本では、インプラント治療経験者は70歳前後が多くを占めていると言われており、実際に治療を経験した方の声を聞くことができます。今回は、2018年に行われたインプラント治療経験者のアンケート結果についてお話します。
1.インプラント手術の実際から注意点まで徹底解説
・インプラント手術の実際
・知らないでは済まされない失った歯が招く問題
・インプラントと噛む力について
・インプラント治療、本当に良かった?20年後のリアル:長期経過症例に見る満足と課題
・術後の注意点
・事前によく聞かれる質問
【インプラント治療、本当に良かった?20年後のリアル:長期経過症例に見る満足と課題】
・20年後も「よく噛める」インプラント治療の実態
・長期経験者が語る「満足」の理由
・インプラント治療の不満点と課題:長期的なセルフケアと定期検診の重要性
20年後も「よく噛める」インプラント治療の実態
日本口腔インプラント学会がインプラント治療から20年以上経過した方に対し、アンケート調査を行いました。(回答が得られた509人の内訳は、男性が148人、女性 361人で、年齢分布は60歳代から80歳代が全体の約90%を占めていました)
20年経過した、インプラント治療を行なった患者さんを対象としたアンケート調査結果では、「何でも良く噛める」と答えた人は60歳代で85%、70歳代で75.6%、80歳代でも75.4%という結果でした。
実は2010年に行われた「国民健康・栄養調査」によると、60歳代で「何でも良く噛める人」の割合は73.5%であり、3割の方は何かしら満足いく状態ではなかったため、同割合を平成35年までに80%にすることが目標に挙げられていました。
また、20年以上の長期経過症例で「インプラントに特に問題はない」と答えた人が78%で、「何でもよく噛める」と答えた人が60歳代で85%,70歳代、80歳代でも75%を越えていました。
長期経験者が語る「満足」の理由
「インプラント治療に満足されていますか」という問いには52.4%の方は「非常に満足」、40.2%の方は「大体満足」と答えており、9割以上の方が「満足」、概ね良好な結果となりました。「満足」の理由としては、50%が「何でもよく噛める」、28%が「入れ歯いらず見た目がいい」、7%が「健康になった」、3%が「若くなった」、11%が「その他」という内容になりました。
インプラント治療の不満点と課題:長期的なセルフケアと定期検診の重要性
ここまでは、インプラント治療に対して、印象の良いアンケート結果を紹介しましたが、5%の「不満」と答えた方の意見もご紹介します。
34.4%は「費用面での悩み」、16%が「歯茎が腫れるなどのトラブルがある」、15%は「手入れがうまくできない」となりました。
気にかかるのは3割を占めている「歯茎が腫れるなどのトラブルがある」、「手入れがうまくできない」という意見です。
歯周病や虫歯が原因で歯を失った方は、そもそもお手入れが不十分か、適切なお手入れ方法を習得できていなかったことが考えられます。「なぜインプラント治療を受けることになったのか」、「インプラント治療はどのようなものか」考える必要があります。
なぜ「歯茎が腫れるなどのトラブルがある」のでしょうか。インプラントは人工歯根とも言われていて骨の中にあります。上に装着する人工歯(被せ物)は虫歯にはなりませんが、磨き残しがあると歯茎が腫れてしまいます。腫れがひどいと、歯茎の中にあるインプラント周囲の骨に影響が出てしまいます。基本的には天然の歯と違い、しみるといった症状である「虫歯」にはなりませんが、歯周病のように歯茎の炎症が起こるリスクがあります。
「定期検診を受けていますか」という質問に52.3%が「受けている」、26.3%は「ときどき受けている」、18.3%が「受けていない」と答えています。天然の歯と変わらずインプラント治療も定期的に経過を見たり、メンテナンスが必要です。
「定期検診を受けてない理由」として30%が「面倒」、20%が「通院が困難」、11.5%が「お金がかかる」、10%が「忘れる」といった理由となりました。
次回に続く